事務系職種に就職を希望する方を対象に、就職に必要不可欠なパソコンの基礎からワープロ、表計算ソフトを使った文書作成、経理事務などの技能を習得する公共職業訓練を開催しています。授業は、パソコンや簿記のほかに社会に出てから役立つ敬語やあいさつ、履歴書の書き方などを教えるビジネスマナーの時間もあります。「どんな仕事を目指しているのか」「そのためにはどんな資格が必要か」など、一人一人の話を聞くキャリアコンサルティングの時間もあります。ワーク・ライフ・バランスのとれた暮らしや人生設計の話をすると、当初、なんとなく入校された感じだった方も「〇〇の仕事に就きたいから〇〇を学んで〇〇の資格を取る」と、具体的な目標を持って受講するようになります。そうした皆さんの頑張りや変化が私たちの喜びになっています。

　職業訓練生も女性が多いのですが、弊社の職員も16名のうち13人が女性。そのうち11名が子育て世代です。将来にわたって会社が持続し、地域社会に貢献していくためにも働く女性を応援する体制を整え、平成27年度に福島県次世代育成支援企業認証制度「働く女性応援」中小企業認証を取得しました。カギを握るのが“ワーク・ライフ・バランス”です。働き方に多様な選択肢があれば、自分に合うスタイルで仕事を続けられます。これまでの実績として「年次有給休暇取得率76％」「育児・介護休業取得者2名」「育児・介護による退職者の再雇用1名」「非正規社員の正規社員への転換5名」があります。そして、現在押し進めているのが年次有給休暇取得率85％とするための中長期ワークプランの作成です。

　実績の一つ「年次有給休暇取得率76％」は、職員同士の協力で成し遂げました。子育て世代は、どうしても学校行事などが多くなります。会社も配慮しますが、講師という職種においては職員同士のチームワークが全てです。それぞれに授業を持っているので、訓練生の皆さんのことを考えると簡単に穴をあけられません。私たちは、健康管理もビジネススキルだと思っているので、一人ひとり気を付けています。しかし、子どもの病気や学校行事は、出来る限り協力し合いたい。解決策として取り組み始めたのが“スキルの共有化”です。子どもが体調を崩して急に休まなくてはならなくなった場合でも、担当者と同じスキルを持っている職員が複数いればすぐに「手当て」できるので、弊社では、いつもだれかしらの勉強している姿が見られます。特にパソコンの世界は、目まぐるしく変わるため、常に新しいテキストでスキルアップしながら備えています。

　非正規社員から正規社員への転換も積極的です。職員の中には、まだ子どもが小さかったり、家庭の事情などで短時間しか働けないという人もいます。しかし、時間の経過と共にお子さんは成長し、家庭の状況も変わります。その時に、講師補助からメインの講師として働けるような教育も行っています。さらに次のステップとして、正規社員で働くという選択肢も用意しています。もともと弊社は、平日は午前8時50分から午後4時20分まで。土日祝日が休みなので働きやすい環境です。正規社員の中には、時短勤務を利用して仕事と子育てを両立させている方もいます。引き続き働きやすい環境整備のための検討を重ねて中長期ワークプランを作成し、年次有給休暇取得率85％を達成させていきたいと思っています。（2016年2月取材）