「患者さん第一」を基本理念に急性期病院として高度な専門的医療を提供しております。近隣の医療機関との連携・機能分担にも力を入れており、地域医療支援病院として地域の救急医療体制を構築しています。NICU（新生児集中治療室）を備えるなどハイリスク妊婦の対応も含め、手厚い、そして幅の広い周産期管理に力を入れています。平成23年からは小児科がある病棟に病棟保育士を配属しました。保育士は、子どもたちが明るく楽しい入院生活になるようサポートしています。患者さんを中心に考え、より質の高い医療を届けられるよう職員の教育や研修にも力を入れています。
　当院には876名が勤務しており、そのうち78％が女性です。看護職は、46％でほとんどが女性です。今でこそ育児・介護休業法において育児休業制度が定められていますが、私たちは、法律ができる前から独自に“育児休職制度”を策定し、女性が仕事と子育てを両立させながら働き続けられるよう努力してきました。

　平成17年には「福島県次世代育成支援企業認証制度」の「仕事と生活の調和」推進企業として認証を受けました。平成27年には地道な積み重ねが評価され、「福島県ワーク・ライフ・バランス男女共同参画大賞」を受賞することができました。この賞は、男女がともに仕事と家庭の両立が図られるよう取り組んでいる点に着目したもので、より良い職場環境づくりを目指し、協力してきた職員たちにとっても大きな喜びになりました。
　具体的な取組には、まず「女性の育児休職制度取得100％」があります。これは、本年度だけでなく3年連続100％という快挙です。看護職に関しては、毎年20人前後の職員が産休・育休を取得しますので、休むことを前提に職員を配置しています。しかし、病院の仕事は看護だけではありません。看護補助、調理、事務など多岐にわたります。若い人たちも多く、家庭事情も含めて休めないという職員もいます。そうした場合には、休業期間を短くするなど柔軟な取得の仕方を説明して、職員が取得しやすいよう後押ししています。平成27年度のトピックスは、病棟勤務の男性看護師が初めて育休を取得したことです。期間は2週間。出産後の一番大変な時期を育休でサポートしました。感想を聞くと、「妻には、本当にいてほしい時にいてくれたのでとてもありがたかったと言われました。自分も休んでよかったと思いました。２週間という期間もよかった。」と話していました。こうしたチャレンジは、取得することで後進につながっていきます。制度を活用することで改善すべき点なども見えてきますので、私たちとしても取得を勧めながら、さらに制度を良いものにしていこうと考えています。

　「女性の管理職登用」については、当院の場合55％が女性です。看護職のほかにも薬局など、コメディカルにも女性管理職がいます。看護部長は、当院の育休取得第１号です。子育ての時期を乗り越え院内でキャリアアップしてきた看護部長の働き方は、後に続く職員たちの目標にもなっています。また、看護部では、平成26年度から看護師に対するキャリア開発プログラムとして、レベル別研修計画を作成し支援しています。
　職員が利用できる院内託児所「さくら保育園」は、昭和48年に開設し、43年にわたって働く女性を応援しています。対象年齢は満4歳未満ですが、小学校入学前まで柔軟に対応しています。定員は30名。午前7時半から午後7時半まで開園しています。保育園も現状に合わせて改善、拡充が行われています。現在は、金曜日に限って24時間保育を始めました。
　男女がともに働きやすい環境づくりの一貫として、平成26年度から3カ年計画で看護協会が実施する“ワーク・ライフ・バランス推進ワークショップ事業”にも取り組んでおります。昨年は、看護師の夜間勤務体制の見直しを行いました。これまでは日勤・準夜勤・深夜勤の３交替制でした。安全で健康に働き続けることができる制度つくりとして、平成26年6月から一部の病棟で12時間の2交替制を導入しました。意見を求めると「体が楽」「３交替制には戻れません」など、好評だったことから正式導入しました。平成28年度は、同事業の仕上げの年となります。目標は、残りの病棟でも２交替制を取り入れること。そして、今後は、介護も視野に入れた働きやすい職場環境づくりに尽力していきたいと思っております。（2016年2月取材）