e.homeは、棚倉町にある藤田建設工業の一般住宅部門です。地元の山から切り出したヒノキを使い、左官職人が内外装塗り壁で仕上げる「自然素材100％で仕上げる住宅」で、健康的かつ長期間メンテナンスが不要であることがセールスポイントです。
　この部門を立ち上げたのは10年ほど前。戸建て住宅は約40年の間、木造注文住宅、輸入住宅、外張り断熱のパッシブエアサイクル住宅、中古住宅部門など様々な形で関連会社を通して提供してきたのですが、それらの各部門を統合して仕切り直すことになった時に、「本当にいい家とは、どんな家か？」ということを、女性スタッフも含めて社内で徹底的に話し合い、その集大成として商品化したという経緯があります。その結果、自信をもってお客様にお勧めできる家ができましたが、当初は住宅営業のノウハウをもつ人員が不足気味でした。

　苦肉の策として始めたのが「カウンターセールス」でした。一般的に住宅営業は、お客様のご自宅を訪ねていくスタイルが主流。お客様が在宅の時間にうかがうために夜間の仕事がつきものです。しかし、人手が足りなかった当社では一切、訪問営業はしないことにしました。関心を持ってくださった方がご予約の上で来店いただき、じっくりとお話をうかがうようにしたのです。特に若い世代のお客様は、自宅に来られることを好まない方が増えてきていることもあり、多くの方にこの営業スタイルが受け入れられ、順調に業績を伸ばしていくことができました。
　商品そのものの魅力はもとより、女性スタッフの細やかな気配りのある営業力も大きく影響しています。「カウンターセールス」の導入によりスタッフの勤務時間も見込みを付けやすくなり、家庭のある女性にも働きやすい職場づくりにつながっていきました。

　本社である藤田建設工業では、長年、仕事と子育てが両立できる職場づくりに取り組んできました。それらの実績が認められて、2007年に「仕事と生活の調和」推進企業、2008年に「子育て応援」中小企業、そして2016年には「働く女性応援」中小企業として福島県から認証を受けています。本社の総務部門には、パートとして入社後に経験を積んで資格を取り管理職についた女性もいます。
　e.home部門でみると、現在35名いるスタッフのうち18名が女性です。2016年2月現在、５人の女性が産休・育休を取得中です。法に定められた各種制度を気兼ねなく使いながら、お互いに助け合ってよりよい職場にしていこうとしています。
　当社は、女性だからということではなく、能力があれば男女の差なく昇進できる会社です。入社後に仕事に役立つ各種資格の取得を応援する制度もあり、多くの社員がその制度を用いてスキルアップを図っています。（2016年2月取材）