社会医療法人秀公会は、医療から介護まで様々なサービスを提供しています。数ある事業所の中核的な施設が、1984年に開設された「あづま脳神経外科病院」です。1988年には子どもを持つ職員が安心して働き続けられるように、保育室を設置しました。当初は病院の建物内に設置しましたが、現在は隣接する敷地に職員の勤務体制に合わせた24時間365日体制の本格的な園庭もある保育室「ゆきうさぎ」を設置し、登録児童100名を数える規模に成長しています。
　医療も介護も、日々専門性が求められるようになってきており、看護師の場合、認定看護師やそれに見合った病院が推奨する資格を取得する必要性が高まっています。出産や育児で長期的に仕事を離れてしまうと、変化についていけなくなるのが現実です。そういったなかで、働き続けてもらうために必要な環境づくりの一つが、この保育室の整備です。

　出産後には１年間育児休業を取得できますが、１年間の育休満了を待たずに職場復帰する職員は「育児時間」制度を利用することができます。これは勤務時間を１時間短縮できるもので、「ずっと家にいるよりも早めに職場に出てきたい。育児と仕事の両立にむけて少しずつ慣らしていきたい」という職員が利用しています。また、「子どもが小さいうちは短時間で働きたい」と希望する職員のために「短時間正社員」制度があります。これはパートタイムと同様の短時間勤務であっても福利厚生・社会保険は正社員と同じ待遇を受けられるもので、賞与に関しても働き方に応じて支給されます。もちろん、家庭の状況が変わった時には、本人の希望により通常の勤務に戻ることができます。他の取組としては、子育て中の職員やこれから産休に入る職員を対象に共通の悩みを話し合う「ランチョンセミナー」が定期的に行われています。

　子育て中の職員だけではなく、全職員のプライベートの充実に向けて設けたのが「カフェテリアプラン」制度（選択型福利厚生制度）です。これは、委員会活動の実績や勤続年数などに応じて付与されるポイントを、リフレッシュや自己啓発等の費用に充てることができる仕組みです。家族旅行やスポーツクラブ代、研修参加費、書籍購入などに使えます。「自由に選べる」ことに加え、手持ちのポイントの範囲内で、支払った金額の領収書を人事課に「渡すだけ」という手軽さも職員からは好評です。

　これらの取り組みは、専門職をはじめ全ての職員に働き続ける中でスキルアップしてほしいという思いから生まれたものです。職員には、これらの取組を活用しながら職場のなかで「自分の存在意義」や「働く喜び」を見つけ成長していってほしいと思います。法人としては、今後も働く人たちのニーズをとらえながら「安心して働き続けられる環境づくり」を進めていかなければならないのだと思います。（2015年12月取材）