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男性の育休取得をうながす『パパクオータ制度』で、両親が一緒に子育てをする風土づくり
- 飯舘村役場
今回お話をうかがった方
飯舘村役場 総務課 総務係 主任主幹兼総務係長(2017年3月当時)
山田 敬行(やまだ たかゆき)さん
産前産後の1ヵ月間、パパも一緒に育休を
飯舘村役場は「両親が一緒に子育てをする風土をつくる」ため、2009年4月に『パパクオータ』制度を導入しました。クオータとは「割り当て」の意味で、父親にも一定期間、育児休暇の取得をうながす制度です。1993年にノルウェーで始まり、男性の育休取得率の向上に大きな成果を上げたといわれます。
村の男性職員は、この制度を利用することにより、配偶者の出産時「産前1ヵ月から産後2ヵ月までの間の連続する1ヵ月間」の休みを取ることができます。その間は、「研修」としてみなされ、毎日「子育て日誌」を書くことが義務付けられます。今のところ、法定の育児休業制度を役場の男性職員が取得した実績はありませんが、『パパクオータ』については、これまでに3人が取得しました。
村長が直接対象職員に取得を呼びかけ
『パパクオータ』の対象となる職員には、菅野典雄村長から直接取得を呼びかけています。村長は常々「多くの女性が社会進出している時代であり、できるところから育児環境を整えていきたい」と話しており、「役場が率先して動くことで、民間にも波及する」という考えに基づいて、震災からしばらくは取得が難しかったこの制度を再開させました。そのような経緯で2009年に一名が取得。2014年に一名が取得。2016年にはさらに一名が取得しています。
この制度の狙いは、「育児休暇の経験・体験が、今後の自治体職員として仕事をしていく上で必ずやプラスになり、仕事の意欲を高めることにもつながる。また、職員の休暇中にお互いに助け合う職場環境づくりにもなりえる」ということです。さらに「子育てに関わることで人間性を豊かにし、ワーク・ライフ・バランスを考えながら、自分の生き方を見直すきっかけ」になる可能性もあります。
輝く女性たちが元気にしてきた村だから
菅野村長は「女性が輝いてこそ、村は元気になる」という信念をこれまで多くの場面で伝えてきました。1989 年から5年間続いた村の既婚女性をヨーロッパに派遣する事業「若妻の翼」に参加した女性たちは、自らの考えを積極的に発信するようになり、それぞれの立場から、村づくりにも新鮮な風を吹き込むとともに、村が独自に設けた「までいな子育て施策」にも取り組んできました。しかしそれらの多くは、2011年以降の全村避難により中断を余儀なくされている状況です。
2016年3月に村では、女性管理職登用、男性職員の育児休暇取得率の向上などを掲げた『飯舘村特定事業主行動計画』を策定しました。計画に沿った形で、子育てだけではなく介護など、職員それぞれのライフステージに合わせて「仕事と生活の調和」のとれた職場環境づくりと女性の職業生活における活躍推進を図ります。これらの取り組みは、効率的で質の高い村民サービスの提供につながりますし、「までいな飯舘村の復興」にも役立つものだと思います。 (2017年3月取材)
基本情報
- 事業内容
- 地方行政機関
- 企業名
- 飯舘村役場
- 所在地
- 〒960-1892 福島県相馬郡飯舘村伊丹沢字伊丹沢580番地1
- TEL
- 0244-42-1611(代表)
- FAX
- 0244-42-1601