当社では、年齢や性別、働き方・雇用形態の条件の違いに関わらず全ての職員が能力を発揮できる「ダイバーシティ」を推進しています。特に全社員の半数が女性であることから、「女性活躍推進」には、積極的に取り組んできました。
　その取り組みの一つが「役割改革」です。地元採用の女性が大半を占める「地域型社員」は、かつて「内勤の事務職」がほとんどでした。女性の能力を広く活かしていこうと、男性の「全国型社員」が担ってきた営業にも女性がチャレンジしていく方針が打ち出されたのが約10年前です。福島支店は全国に先駆けて取り組みを始めました。
　当社の営業は、パートナーである保険代理店さんの支援業務がメインです。「全国型社員」の担当者は３〜４年で転勤するのが常でしたが、「地域型社員」なら長い期間にわたり代理店さんと関わることができます。このことは長くお客様をお守りできるというメリットにもつながります。５年前の東日本大震災の際には、地震保険をお勧めしていたお客様から「おかげで生活を再建できた」「本当に助かりました」という声をたくさんいただきました。このような経験を将来に語り継ぐこと、経験を通じて実感したことを、仕事に活かしていくことが大切だと思います。

　当社では、女性にもチャレンジの場を提供するとともに、サポート体制や制度を整えています。それらは「きらり☆キャリアアップ応援制度」と呼ばれており、「キャリアアップを推進する制度」と「マインド・スキルアップを支援する仕組み」の大きく二つの柱からなります。「キャリアアップを推進する制度」は、能力の発揮度に応じて決まる「ステージ制度」を踏まえたもので、年度始めに直属の上司と面談を行い、一人ひとりが目指す姿を確認します。チャレンジすることで職務権限が広がり、給与面にも反映されますので、仕事のやりがいにもつながります。
　「マインドアップ・スキルアップを支援する仕組み」は、いわゆる研修制度です。選択制・指名制・階層別などがあり、「マネジメント研修」を受けたり、自分の「プレゼンテーション能力」に不安があれば、選択して研修を受けに行くことができます。
　この二つの柱を下支えしているのが、ライフイベントを支える「ママパパ☆キャリアアップ応援制度」です。育児休業中にも上司との定期的な面談を行い、仕事の状況を把握することでスムーズに復職することができますし、産休・育休中には代替要員を確保する制度があり、仕事を引き継ぐことで安心して休むことができます。復帰後も勤務時間自由選択制度（マイセレクト）・半日休暇・在宅勤務制度など、柔軟な働き方を選択することができます。
　また、地域型社員であっても、配偶者の転勤などで勤務エリアを変更できる「Iターン異動」や、元の勤務エリアに戻れることを条件に転勤する「Uターン異動」を選べます。これらのさまざまな選択肢が、女性が会社の中で仕事を長く続けていくことを後押ししています。

　福島支店にはイクボスがおりまして、「ライフイベントを一生涯にわたり支えて働きやすい福島に」と宣言をしています。福島支店独自の「福島ママ会」という取り組みもあります。これは、子育て中の社員が「行事で休みを取る時はどうしている？」「なんの習い事をさせる？」といった情報を共有しあうもので、同じビルで働く社員だけでなく、テレビ会議のシステムを使って昼休みに白河市や福島市などの社員ともつながっています。これらの取組は身近にママ社員がいないため相談できなかった社員にとても喜ばれました。また、結婚した社員が「今後の参考にしたい」と参加することもあります。実際に妊娠や出産、子育てをしながら働いている生の声を聞くことで、「今後の働き方が具体的にイメージしやすくなった」というプレママの感想も聞かれます。
　福島支店は、今年まで４年連続で優秀支店表彰を受けています。女性活躍推進の取り組みを進めながら営業的にも成果を出している「福島モデル」として注目され、他県の支社から講演を依頼されることもあります。形のある製品を扱わず、製造設備などを持たない当社にとって、もっとも貴重な経営資源は人材です。そのことを男女ともに自覚して、チャレンジし、輝いていける環境がこの会社にはあります。（2016年7月取材）