明治36年創業以来、建設業一筋に歩んでまいりました。弊社は今年（取材時：平成28年）で創業113年になります。中小企業で100年以上続く会社というのは全国でも、福島県内でもそう多くはありません。明治、大正、昭和、平成と４つの時代の荒波を乗り越え、受け継がれてきた要因を考えてみますと、やはり「時代の変化に対して柔軟に対応してきた」この努力に尽きるのではないかと思います。少子高齢化、人口減少という時代が抱える困難を背景に、平成19年からは、２１世紀職業財団による「職場風土改革コース」の実施、次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」の策定、福島県次世代育成支援企業認証制度の「仕事と生活の調和推進企業」「子育て応援中小企業」の認証、厚生労働省による子育てサポート企業としての「くるみんマーク」の認定を受けるなど環境整備に取り組んできました。社員が働きやすい環境を整え、快適に日々の業務に携われるようにしていくことが、人と地域の未来を創り、ひいては弊社の次の100年に繋がると、社員一丸となって邁進しています。

　かつて建設業界は、男性の職場というのが一般的なイメージでした。ご多分に漏れず弊社も76人中、女性は6人。女性の管理職1名、パートタイマー1名となっています。確かに女性は少ないですが、私たちには「家庭と仕事を両立しやすい職場環境づくり」「社内子育て応援団風土づくり」を目標に、先輩方が果敢にチャレンジしてきた実績があります。出産ラッシュが続いた平成19年から同22年まで育児休業取得率は100％です。3年間に5名の女性社員が出産しました。さらにその間、男性社員も1名が育休を5カ月間取りました。こちらのケースは、初めて男性が育休を取ったことで、職場に新しい風が吹きました。何より私たちの自信につながりましたね。
　「仕事と生活の調和（ワーク・ライフ・バランス）」も、互いを思いやりながら推し進めています。事例として、毎週水曜日の「ノー残業デー」があります。ハードワークで緊張が続くとせっかくの週末を家族と楽しめなくなってしまいます。少しでもリフレッシュして疲れをため込まないように、内勤にも現場にも声をかけ協力を呼び掛けています。また、子どもの授業参観や入学式、卒業式などにも出席しやすくしようと、就業規則に時間休暇を明文化しました。これらの実績が、私たちの矜持とお手本になっていることは、間違いありません。同時に、弊社のイメージアップ、子育て支援企業として社員の定着、求人にも貢献しています。

　5年前の東日本大震災では、筆舌に尽くしがたい思いをしましたが、振り返ってみますと、先輩方が働きやすい職場環境を整えるために奮闘してきたことが、困難を乗り越えるときの思いやりや深い寛容につながったように思います。震災後、結婚して２人の子どもに恵まれた女性社員がいます。産休と育休を支える時のチームワークの良さといったらまるで家族のようでした。
　また、弊社では、スキルアップのための資格取得、現場で働く女性の応援も惜しみません。今回、工事部内勤で２級土木施工管理技士の試験を受けた女性がいます。「資格を取得することで現場のことがもっと分かるようになる」と言ってチャレンジしました。ゆくゆくは、ヘルメットを被って現場に出たいと言っている頼もしい女性です。（２０１６年３月現在、試験に合格し技術者として活躍中です！）
　今、建設業界は、男女に関係なく互いに磨き合いながら成長していける職場へと進化しています。弊社も、さらに質の高い子育て支援企業を目指し、一定の要件を満たした場合に付与される特定認定「プラチナくるみん」制度の取得を考えています。測量技師、建築技師、現場を後方支援する内勤希望者も大歓迎！　ぜひ、女性パワーで社内を、地域を明るく照らして行きましょう。（2016年1月取材）