2015年に福島銀行初の女性支店長と本部課長職が誕生しました。同年12月に１人加わり、現在は女性支店長格が４人います。これまで銀行では、女性は窓口業務、男性が渉外業務を担当しながら管理職を目指すというキャリアアップが定着していました。この垣根を取り払い、女性管理職を育成しようと始めたのが「女性向けの研修制度」です。
　研修は、プレステージ研修（職位者育成）〜リーダー研修（課長育成）〜プレミアム研修（支店長育成）と３つの職位育成レベルで行われます。各階層の選抜者による指名制の参加です。
　特にプレミアム研修では、「選んでもらったのはいいけれども、私に支店長が務まるとは思えない」と言う方もいました。しかし、月に１回、１年間の研修を続けるうちに意識に変化があり、後半には「ぜひ挑戦したい」と意欲的な声が出るようになっていきました。２週間連続で行う審査部門での個別研修も実施し、未知の業務に対する不安を解消することで、一歩踏み出せるようになったのだと思います。
　現在いる女性管理職が女性職員のロールモデルとなることを期待すると同時に、2018年3月末日までには女性管理職を20％、女性渉外職を35％まで引き上げる数値目標を掲げています。研修開始以来着実な成果を上げており、数値目標の達成は実現できそうです。

　研修というソフト面に加え、機動力をもってお客様を訪問できるように、バイクをスクーターに切り替えるハード面の対応も始めました。またがるタイプから、両足を揃えて乗ることができるスクーターにすることで、女性職員がバイクに乗る抵抗感を軽減しようとするものです。
　2013年には、女性社員で構成する女性のための新商品・サービスの企画及び行内の業務改善を企画する施策検討会議を発足しています。翌年から会議名称を「わたし-Lachic」プロジェクトとしメンバーを増員しました。メンバーは自ら「やってみたい」と手を上げた人です。本社に近い県北だけでなく、会津やいわきも含めた県内各地から10人ほどのメンバーが集まりました。現在、女性向けに販売している目的別ローン「智のたしなみ」「美のかがやき」「愛のはぐくみ」などの５商品は、このプロジェクトメンバーが開発したものです。「女性向け」という切り口が話題を呼び、店舗の窓口で「男性向けはないの？」といった問い合わせを受けて他の商品のご案内につなげるなど、波及効果も生まれました。

　これらの取り組みが評価されて、2015年10月には均等・両立推進企業表彰「福島労働局長優良賞」を受賞しました。今は、お取引先の社長さんやキーパーソンが女性になってきています。女性の視点を活かしていくことで、お客さまとの距離が近くなることもありますし、お客さまに信頼していただくことで、銀行としてお役に立てる場面も広げていけるはずです。
　私たちが目指しているのは、『真面目にがんばっている人を　真面目に応援する　真面目な銀行』～ウォーム・マネーの福島銀行～です。地域金融機関としての競争力を高めるためにも、女性を含めた全職員がその能力を活かし、いきいきと働ける組織づくりに取り組んで参ります。この銀行に入ってよかったと思えるような仕事のやりがいをすべての職員に実感してもらえればと思います。（2016年1月取材）