キラリと光るキラっ人さん
キラっ人さん紹介
「当事者目線」で使いやすい制度を設計。効率アップと情報の共有化で業務への影響を最小限に
- 渡邊 まど香さん (株式会社福島インフォメーションリサーチ&マネジメント)
- わたなべまどか
- 株式会社 福島インフォメーションリサーチ&マネジメント 企画営業
1980年、いわき市生まれ。福島工業高等専門学校土木課を卒業後、東京の下水道設計会社に就職。4年後に帰郷し、別の会社を経て、同級生が起業した福島インフォメーションリサーチ&マネジメントに2009年に入社した。3歳と1歳の子ども二人を育てるワーキングママ。
起業し奮闘する同級生を応援したくて
結婚で前の会社を辞めた頃に、高専時代の同級生だった橘が会社を立ち上げていて、「ヒマだったら手伝って」と言われて、時々データ入力などをしていました。当初は短期アルバイトのつもりでしたが、気がついたら入社してから10年目です。数字を扱うことが好きだったのと「長い付き合いの橘を応援したい」という気持ちがありました。
仕事を受注するのに忙しい橘に代り新入社員に必要な社会保険などの手続きは自分で全部やりました。そうこうするうちに、総務的な役割を私が担当するようになり、妊娠が発覚した時にもどんな制度が使えるのか、自分で改めて調べ直しました。ちょうどその頃、私も含めて3人の妊婦が社内にいたのですが、前例がなかったので産休や育休の制度を誰も知らなかったのです。
社外メールはccで、進捗状況も共有
出産し、産休と育休を取ってみると、家事と育児と仕事の両立の大変さも見えてきました。今まで当たり前にこなしていた残業はできませんし、保育園の送り迎えがあれば、9時から18時の定時勤務も難しくなってきます。そこで、社労士に相談しながら「短時間勤務」と「フレックスタイム」を新たに導入することにしました。自宅作業をした場合には出勤簿に記入し、それも勤務時間に換算することにしました。せっかくある制度も、使えなければないものと一緒なので、他のスタッフが遠慮せず使えるように私自身が率先してこれらの制度を使うようにしています。
もちろん、業務に影響が出ることは避けなければいけないので、「効率良く仕事をすること」と「情報共有」を心掛けるようにしました。具体的には、社外メールは全てccで全スタッフに送信して共有し、全体ミーティングではすべての作業を洗い出し仕事の進捗状況を確認しています。こうすることで、誰かが休んでも周りの人がカバーできる体制ができました。
フルタイムで働く人にこそ手当を
育休中でも、会社が今どんな動きになっているか把握できるように、月に1度はスタッフのミーティングに子連れで参加してもらう機会を設けています。ミーティング前にはゆっくりランチを楽しんで、復職の不安が払拭できるようにスタッフ同士のコミュニケーションを深めています。
これらの様々な制度や取り組みについては、毎年社員にアンケートを取り改善すべき部分があれば変更します。今年の3月のアンケートでは、「短時間勤務制度利用者ではなく、フルタイムで働く人を手厚くした方が良い」という意見があり、新たな手当の創設を検討しているところです。また、「健康管理は大事だよね」という話から、女性特有のがん健診を隔年ではなく会社負担で毎年受診できるようにしました。郵送できるがん検診キットについても会社で補助しています。
会社として出来ることはたくさんあるはずだから
私自身はサポート役が向いているので、同級生の起業した会社をバックアップできることはとてもラッキーと受け止めています。母親はわたしが子どもを産むまでは「こどもが3歳までは母親が育てなさい」と言っていたのですが、同級生である橘が仕事で奮闘しているのを知って「子どもは私が面倒を見るから、早く仕事に戻って手伝った方がいいよ」と私に仕事復帰を促すようになりました。夫も育児に協力的ですし、夫の両親も「なにかあったら手伝うから」と言ってくれます。私は本当に恵まれた環境にいるのですが、そうではない人もいます。自分だけではなく「みんなが働きやすい環境にしたい」というのが私の思いです。働く能力も意欲もあるのに、「子育てと両立できないから、この会社では働けない」と退職してしまうのは、あまりにももったいない。会社として出来ることはいろいろとあるはずなので、これからも少しずつ必要な制度を整備していきたいと思っています。(2018年9月取材)