キラリと光るキラっ人さん
キラっ人さん紹介
ワーク・ライフ・バランスを実現しながら、 自分らしさを活かせる起業、お手伝いします。
- 三部 香奈さん(一般社団法人グロウイングクラウド)(三部会計事務所)
- さんべかな
- 一般社団法人グロウイングクラウド 代表理事 三部会計事務所 企画室 室長
昭和50年須賀川市生まれ。東京の大学を卒業後、帰福し福島民友新聞社で記者をつとめた。三部会計事務所の代表と結婚して3年後に新聞社を退社し公私ともに夫のパートナーに。グロウイングクラウド立ち上げ当時は、子どもが小さく仕事をセーブしており「比較的時間に余裕あるから」と代表に就任した。会計事務所の業務にも子育てにも全力を注いで、両立を楽しんでいる。
一般社団法人グロウイングクラウド
https://glowingcloudkoriyama.jimdo.com/
女性のキャリアを生かす「起業」という選択肢
「グロウイングクラウド」は、起業支援と人材育成を行う一般社団法人です。2014年に、会計士、中小企業診断士、税理士など経営の専門家たちで立ち上げました。少子高齢化で郡山市周辺の企業数は減少していく傾向にあります。その流れに手をこまねいているのではなく、「少しでも会社を増やして地域を活性化しよう」と意気投合したメンバーたちが集まりました。
いまだに女性の場合は、「仕事と出産・子育てどっちを取る?」という選択を迫られることがあります。子育てと両立するために、パートタイムの就業を選ぶ方も少なくありません。もちろんパートタイムで働くことも良いと思いますが、今までのキャリアを活かしていくには、「起業」という選択肢がもっと注目されてもいいのではないかと思っています。自分で立ち上げた会社であれば、スケジュールを調整しやすく、ワーク・ライフ・バランスを実現しやすい面があります。私自身も経営者側の立場なので、責任の大きさと重さは非常によく分かりますが、自分らしい能力を活かしていける仕事があれば、人生はより楽しくなるとも思います。
つながることで個人の可能性は一層広がるから
「グロウイングクラウド」という名前には、“吉兆、そして人と人をつなぐ“クラウド”になりたいという願いが込められています。共に集い、活動をつなげていくことで、個人の可能性は一層広がります。活動の拠点として、私たちが設けたのが『コワーキングスペースco-ba koriyama』です。現在はWEB制作やアプリ開発などのIT関係や、キャリアコンサルタントなど様々な職種の起業家24人が登録して利用しています。ここはイベントスペースとしても利活用されていて、参加者同士のネットワークづくりも盛んです。その一つが「起業家セミナー」に参加した女性たちが立ち上げた「スペシャリスト女子会」で、3年前から毎月交流会を実施してきました。「スペシャリスト」とは、特別な資格がなくても「自分の力を誰かのために役立てたい人」と定義し、一人ひとりに必ずある「得意なこと」、「好きなこと」を交流会で発表する機会を設けています。参加している女性たちの力で、企業や地域の課題を解決できるような仕組みづくりができればと思います。
子育てと仕事を両立していく上で気づいたこと
私は大学卒業後、ずっと新聞記者をしていました。しかし、自分で子育てをしたかったこと、また、夫が話す「会計事務所は地域経済を支えている」という使命感に共感して、同じベクトルを向きたいと異業種に飛び込んだのです。会計事務所の仕事に役立つ資格をいくつか取りましたが、夫は「あなたが得意とする仕事をやった方がいい」と言ってくれたので、広報や渉外的な仕事を担っています。
子育てをしながら二つの仕事を続けてきて、自分は意外とタフだということに気づきました。24時間いろんなことに関わり頭をフル回転していても、それほど疲れを感じることはありません。イベントがある土日には、子どもをコワーキングスペースに連れていくこともあります。しかし、皆が私のようなタイプというわけではなく、きちんと時間にメリハリをつけないと辛くなってしまう人や、がんばり過ぎてしまって燃え尽きてしまう人など、いろいろなタイプの人がいるということに最近気づきました。よかれと思って「がんばろうよ!」「両立しようよ!」と声をかけることで辛くなってしまう方もいるので、一方的な押しつけにならないように気をつけなければいけないと思っています。
多様性の化学反応から生まれるビジネス
これからの社会に必要なのは、「多様性」です。男性・女性に限らず、一人ひとり、働き方、生き方、価値観は違います。いろんな立場の人が意見を出し合って、最初は現実的ではないような、「本当に役立つの?」というようなビジネスであっても、みんなで考えることで、化学反応が起こるように新しいビジネスが生まれることがあると思います。内側に秘めた想い、可能性、能力を顕在化させて、発揮できる。このコワーキングスペースは、そういう場にしていきたいです。
私たちが開催したイベントやセミナーへの参加がきっかけで、参加者の方が「私はこれをやってみたい」と目標が明確になり、一歩踏み出していく様子を見ていると、大切なターニングポイントに立ち会えたことがうれしく、充実感があります。今年は、郡山市の「スモールスタート支援事業」の伴走チームに加わり、ノウハウを提供するとともに、起業や新しいチャレンジの応援も始めました。また、三部会計事務所では、子どもたちを対象に「社長の仕事体験」をしてもらうプロジェクトを実施し、起業家を増やす種まきをしています。一番身近な大人であるパパやママが楽しそうに仕事をしていたり、うれしそうに生きていると、子どもたちも夢を持って将来像を描くことができるはずです。そんな大人たちが増えることで、地域はもっと元気になっていくと思います。(2018年7月取材)