今年もよろしくお願いします。
1歳児の男の子を妻と育てている料理家の本田よう一です。
お正月はいかがお過ごしでしたか?
僕らは福島にある僕の実家に帰り、餅つき、そば打ち、おせちを作りと「ど定番の正月」を過ごしました。もちろん、息子は1歳なので、通常営業。見知らぬ場所やいつもと違う日常に刺激を受けていた様子ですが、もちろん家事と育児に正月休みがあるわけではないので、僕たち親は洗濯と掃除と炊事をやります。
今年もコラムとレシピを紹介していくのですが、せっかくなので今日は料理について、といっても家庭料理の話をしようと思います。
どうなると家庭料理はいいのか?世代も性別も違う人間の集まりが家族で、その人たちに合わせて作るのが家庭料理です。でも、作る人はシェフではありません。それが生業ではないのです。普段の生活、仕事の中で作るごはんです。僕にとっては生業ではあるんですが、家族のその日の気分とお腹の具合にぴったり合うものは作れません。というか目指しません。なんとなく食べたいものとかは聞きますけどね。でも、ぴったりは難しいです。というか目指すのもおすすめしません。笑
財布の状況や、買い物に行けた行けない、仕事の進み具合、自分の体調の度合い、作りたいもの、食べたいもの、と理想の状況でみんなを満足させる料理を1日2回から3回作るなんて、至難の技です。だから、一人で決めることはしないです。だって、みんなで食べるんだもん。さらに言えば、料理も毎日しなくていいです。
野菜と焼いた肉か魚にごはんがあれば、それで十分。そこに今日の誰かの「〇〇したい」が少し混ざればいいと思います。今日は楽したい。片付けはパス。今日はがっつり食べたい。お酒と一緒に楽しみたい。ゆっくり話をしながら食べたい。あのお店のあれが食べてみたい。買ってきてみんなで食べてみよう。毎日、料理に完璧を求めなくても、「今日はこういう日」でいいんじゃないかなと思います。
料理の味付けがちょっと決まらないって日も、「こういう日」で。いまいちだなとなれば、代わりに作ってみようでもいいし。自由で楽しく、完璧でなくてもよいと僕は思います。
料理が少し好きになると野菜や肉、魚、果物の素材に興味を持ったり、その土地、例えば福島の冬だと白菜や雪下人参がおいしいなとか、あんぽ柿が出てきた、ほうれん草に霜が降りて甘さが増したねとか小さな変化に心が動くこともあります。調味料にも、季節で出てくる日本酒やワイン、また会津塗を始め、県内にも器の作家さんがたくさんいます。福島に限らず、全国にも楽しいこと、好きなことが少しずつ増えていくと料理も楽しくなると思います。選べる範囲が多すぎて、それはそれで大変ですが嬉しい悲鳴ですね。
みなさんは家庭料理はどうあるのがいいと思いますか?
ちょっとだけ、家族で話をしてみてはどうでしょうか?
家庭料理の話。
2020.01.08
執筆者本田よう一