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キラリと光るキラっ人さん

先輩リーダーに聞く!「地域版女性リーダー育成セミナー」開催レポート

第1回(会津会場)

福島県内で地域活動のリーダーとして活躍している女性たちを講師に迎え、地域での様々な実践やその原動力を聞く福島県女性活躍促進事業「地域版女性リーダー育成セミナー」。

第1回目は2024年7月25日に、会津若松市の「會津稽古堂」にて、郡山市で子育て支援を中心に活動する「しゅふコミ」代表の横尾恵美さんと、会津美里町で地域をつなぐ様々なイベントの企画・運営に携わる「会津美里こらんしょ woman」の代表を務める竹内樹美さんを講師に迎え開催しました。当日の様子をレポートしていきます。

(1)リーダーに聞く
しゅふコミ 代表横尾恵美さん

2023年度のセミナーにも登壇した横尾さんは二本松市出身で郡山市在住。大学卒業後は都内エステサロンに勤務し、東日本大震災をきっかけに2011年に郡山市にUターンしました。移住後は福島県産へちまを使った化粧品の開発に挑戦。SNSで友人知人たちに意見を聞いていく中で、「主婦たちってすごい力を持っているんだ」と気づき、主婦の力を社会に活かそうと、2019年に「しゅふコミ」を立ち上げます。

Instagramやラジオで情報発信をしたり、企業や行政とコラボしながら、子育て情報誌の発刊、イベントの企画・開催、子育て専門店の運営など、様々な事業を展開しています。
横尾さんが現在力を入れている事業は以下の3つです。

①子育て情報誌「パパとママの子育てバイブル」発刊
「マタニティ期~児童期(9歳頃)まで子育ての状況や、自分の人生を女性が見通せるような冊子」をテーマに、多くの子育て中の主婦の意見を取り入れています。
初年度は郡山版、2023年・2024年は福島県版を発行し、現在は県内20市町村で母子手帳と一緒に配布しています。

②「しゅふコミ子育て専門店」店舗運営
ママたちが気軽に集って買い物したり、保育士や看護師からアドバイスを受けたり、産後整体やマタニティ整体を受けたりできる施設を2024年4月にオープンしました。「開放デー」では子どもの遊び場としても利用可能です。
不要になった子育て用品を安価でレンタルし、地域で循環させる試み「子育て用品循環プロジェクト」立ち上げの準備も進めています。

③「にんぷかふぇ」
「妊娠中からコミュニティやママパパたちとつながることが大事」だと考え、企画・運営しています。前回は6組の参加があり、徐々に認知も進んでいると感じているそうです。

地域ぐるみ子育て研究所 しゅふコミ
https://shufucomi.com/

会津美里こらんしょwoman 代表竹内樹美さん

会津美里町在住の竹内さんの本業は建築士。会津地方中部の磐梯町出身で、会津工業高校の建築科を卒業後、栃木県内の短大に進学。栃木県内の設計事務所に就職し、18~28歳まで10年間を栃木県で過ごして、一級建築士資格取得後に福島にUターンしました。2008年の結婚を機に会津美里町へ嫁ぎ、設計事務所を開設しました。

竹内さんは本郷地区の印象を「くねくねした裏路地が好き」「町中にはりめぐらされた水路が良い」「軒の低い古い町並みが好き」と感じたそう。町の素晴らしさを周囲に伝えながら、地元の祭りへ参加したり、散策や窯元巡りをしたりと、新しい土地での生活を楽しんでいました。

活動を始めるきっかけになったのが2016年。色んな人に「本郷の裏路地がいい」「もっとまちの魅力を知ってほしい」と話をしており、その中の一人に設計事務所のお客様だった観光課の役場職員がいました。その方に、会津美里町の観光町づくり推進協議会のメンバーに誘われ、参加することになります。ある時「南魚沼市女子力観光プロモーションチーム」の講演を聞く機会があり、会津美里町でも女性目線の情報発信をしてみようと、町内の女性を誘って「会津美里こらんしょ woman」を5人でスタートしました。

発足当初は南魚沼の女性団体を参考にFacebookやHPで町の情報発信をしていましたが、現在はマルシェやイベント開催がメインの活動に。会津美里町や観光協会、商工会、地域おこし協力隊、一般社団法人TORCHなどと協力してイベントなどを企画・運営し、人のにぎわいを生み出しながら町を盛り上げています。

竹内さんが関わる代表的なイベントに「こらんしょマルシェ」「あいづみさとワインフェス」「マチミセマルシェ」などがあります。
マルシェの会場には町内の空き店舗や、地元の本郷焼の窯元の駐車場などを選出。普段だったら足を踏み入れない場所だったり、菜の花畑、宮川の千本桜など、町の隠れた名所を訪れるきっかけづくりになれば、と考えています。

会津美里こらんしょ woman
https://www.instagram.com/coransho_woman/
https://coransho-woman.sakura.ne.jp/

(2)座談会
仲間づくりのコツを教えてください。

横尾:
基本的に私がどうしたいかで動いているので、コミュニティに仲間がたくさんいますが、誰かに「こうしてほしい」とは考えていません。やりたいことをやれる人がやればいい。そういう流動的なコミュニティを目指してます。それでお互いwin-winの関係だったらなお良いですね。
私は子育ての専門家ではないので、子育て云々のことに関しては仲間の専門家の方にお任せしています。店舗運営は保育士や看護師など私含めて4人でやっていますが、各スタッフに一任しています。私はただまとめてつなげるという役目なだけ。動きながら、臨機応変にやっています。

立ち上げメンバーの集め方は?

横尾:
私がやろうと思って一人ではじめた活動でしたが、化粧品を販売するイベントに出たり、Facebookを通じて少しずつ知り合いが増えてきました。
そのうちに「私こういうことしたいんですけど」「じゃあ次のイベントでこういうことしてみますか」といった具合に雑談的な感じで、自然と私の活動に関わる仲間が増えていった形です。

竹内:
横尾さんと一緒で、きっかけは私がやりたかったから一人でやろうと思っていました。
ですが、南魚沼の女性たちの団体は十数人の団体だったので、その位いた方がいいのかなと思い、周囲へ声かけを始めました。会津美里町は本郷・高田・新鶴の3地区あり、私は本郷地区在住。高田と新鶴の人を紹介してもらい、最初は5人でスタートしました。

地域の方とはどのように関わっていますか?

横尾:
福島市は行政色が強い、会津は城下町、など各地にイメージがありますが、郡山は民間色が強いイメージがあります。私は「主婦の力を活かす」をテーマに活動しているので、その力が民間企業にもっと活かされればいいと思っています。
連携した民間企業の一つが地元のラジオ局です。しゅふコミがラジオで子育て情報の発信を始めて2年目になります。
地元ラジオ局は子育て世帯のリスナーを増やしたいと考えて、私たちへ声をかけてくださいました。しゅふコミとしても、イベントのお誘いをもらったり、「ラジオ聞いてます」というお声もいただけるようになり、Win-Winの関係を築けています。コロナ禍で発信力を強めたことも地域に広まるきっかけになったと思います。
あとは、小学校のPTA会長職でも色んな所に顔を出しています。一つ一つが地道な作業ですけど、そのおかげで少しずつ「横尾恵美」という顔を認識してもらえてきたのかな。

竹内:
まちづくり推進協議会のメンバーになったことがきっかけで、会津美里町の委員を3つ掛け持ちしていますが、役場職員に顔見知りの方がたくさん増えました。
当初は、その役場職員の方々や、町の観光に特化した地域おこし協力隊2~3人と、町内で移住者受け入れ体制づくりを行う一般社団法人TORCHの方々と協力しながらマルシェを運営していました。

会津美里町商工会から委託を受けて開催したイベント「マチミセマルシェ」では、町の空き地や駐車場、空き店舗を利用させてもらうため、「ここ借りれませんか?」と地道に一軒一軒回って交渉をしました。商店街を回っていると声をかけてもらえる機会も増えて、仲良しのおばちゃんもできました。頻繁に商店街に通ったことで、つながりがどんどん広がっていきました。

事業は立ち上げ当初から思い描いていた方向に進んでいますか?

横尾:
当初思い描いていた方向がありましたが、その方向じゃダメだって気づいたんですよ。
6年前に「女性の意見で広報します」というチラシを作ったのですが、それが全然当たらなくて。
企業さんに行ってもまず「しゅふコミって何?」「主婦の声、女性の力って何?」からはじまる状況でした。
これではダメだと思ったので、「私たちは何ができるか」をPRして、コミュニティを強化する方向にシフトしました。地域での子育てに役立つ冊子づくりでは、スタッフやコミュニティーメンバーから意見を聞きながら、紙面の構成、取材、執筆、写真撮影、デザインに至るまで、全て私たちで行いました。冊子という実績ができ、今は店舗もあるので、「しゅふコミ」の名前の認知は進んでいると感じています。

竹内:
立ち上げ当初は情報発信がメインでしたが、途中から私の意向でマルシェの企画・開催がメインに変わっていきました。活動を続けるうちに「ちょっと違うな」と離れた方もいますし、マルシェの出店者の方がメンバーになってくれたりと様々入れ替わりました。
基本は私がマルシェの日程や場所や詳細を決めて、他のメンバーに手伝いしてもらっているような感じですね。私は自営業だから比較的時間が取れますが、メンバーは平日は時間が取れない人が多いので、あまり多くは求めません。できる時にできることをやってもらっています。

最初は資金をどのように工面していましたか?

横尾:
化粧品事業の収益もしゅふコミの資金にして回しています。化粧品のターゲットも同じく子育て中の方だったので、自分のやりたいことのターゲットに近い事業を立ち上げる私のようなやり方もありだと思います。
活動場所は公民館を借りるとか、初めからチラシを作ろうとか思わずに、自分でCanva(オンラインデザインツール)などで画像だけ作ってインスタに載せたり、お金がかからない範囲でやっていました。
補助金も使っていますが、自分で手出ししてでもやりたいと思える事業の補助金しか取りません。

竹内:
本業の収入があるので、「ちょっと楽しいマルシェを企画してみようかな」という気軽な気持ちでやっていました。元々マルシェで儲けようとは思っていませんでした。でも気がつけば、イベントに関わってくれた方の中からも本業のお客様が生まれたりもして、いい循環になってたかなとも思います。

家庭との両立はどのようにしていますか?

横尾:
子どもや家庭を一番に考え、負担をかけてまではやらないと決めています。夫は仕事で家を空けることが多いので私ができる範囲内で、自分の子どもとその周りの子たちが楽しく暮らしていくことが大事です。それができないんだったらお断りします。
企業さん案件の場合は夜のイベントも多いですが、「昼に設定してもらえれば参加できます」とこちらから提案している状況です。

竹内:
メンバーがほとんど主婦なので、家庭が一番で、「無理なく楽しく」をモットーに活動しています。ただ私はマルシェの日は、朝早く出かけて夜まで帰れません。その間は夫に家事と息子のことをお願いしています。

マルシェやイベントでは「子どもが遊んで楽しいイベント」を一番のテーマにしています。子どもたちが工作して楽しめるハンドメイドやワークショップを必ず入れるようにして、小さい頃は息子も一緒に連れて行って遊ばせていました。子どもたちのふるさととなるこの地域を良くしたいという気持ちでやっています。

第2回(いわき会場)

8月27日に大熊町の「linkる大熊」にて、第2回目が開催されました。
今回の講師は、浪江町に移住して地域をつなぐ活動を行う任意団体「なみとも」代表の小林奈保子さんと、大熊町でコミュニティ支援やイベント企画運営などを行う「HITOkumalab(ヒトクマラボ)」代表の佐藤亜紀さんの2名です。講師や参加者同士で顔見知りも多く、ざっくばらんな雰囲気が印象的だったセミナーの様子をレポートします。

(1)リーダーに聞く
任意団体「なみとも」代表小林奈保子さん

福島県田村市出身の小林さんは、震災後、2013年頃から地元の田村市で復興支援員としてコミュニティ再生に携わります。住民の方々一人一人の声を聞き、一緒に課題などを整理したり、外から支援で入ってくる方々を地域につなぐ活動に仕事として関わるようになったことが一つの転機になったのだそう。
その後、2017年4月に浪江町の一部避難指示解除後、浪江町役場職員の夫とともに浪江町に移住。当初は浪江町に若い世代がほとんどおらず、誰かと交流したり関わる場所や機会がありませんでした。このまま小林さん自身も家にこもっていては良くないと考えていた時、同じ考えや課題を持つ男性と意気投合。「友達を作ることを目的に企画する団体を作ろう」と、2人で「なみとも」を立ち上げました。
主な活動は以下の3つです。

①地域の情報交換「なみえ会議」
誰でも参加できるオープンな情報交換の場で、行政区長やNPO、社会福祉協議会、まちづくり会社、民間企業など町内で活動する団体が集まり、それぞれが行う事業やイベント情報などを共有しています。2018年にスタートし、通算43回目を数えます。

②交流イベントの開催
花見、流しそうめん、ご飯会、餅つきなど、町民や移住者、多世代で交流できる四季折々のイベントを企画・開催しています。

③地域住民とつくる「新町にぎわいマーケット」
浪江町の中心部にある商店街「新町通り」で、年に1度、新町にぎわいマーケットを開催しています。かつては町のシンボルだった商店街ににぎわいを取り戻すため、なみともが事務局となり、町の人たちと一緒に作り上げています。

その他にも、双葉郡の子育てパパママを応援する任意団体「cotohana」の共同代表として活動したり、太鼓を通じて浪江町の文化継承や新しい文化づくりを目的とする太鼓チーム「太鼓浪音」に参加したり、浪江町の若者向けLINEオープンチャットを運営したりと、「人とつながる・つなげる活動」を中心に、地域での交流の場所や機会を創り出しています。
2024年は新たに、防災に関する活動や、子どもたちの居場所づくりもはじめたいと考えています。

任意団体「なみとも」
https://www.namitomo.org/

HITOkumalab(ヒトクマラボ)代表佐藤亜紀さん

「笛と歌と畑と田んぼと海が好き」と自己紹介してくれた佐藤さんは、1982年千葉県生まれで、現在は大熊町在住です。

震災前、東京で音楽関係の仕事をしており、2014年6月に大熊町の復興支援員として、当時大熊町の役場があったいわき市に移住。いわき市で4団体、県外で10団体ほどと関わりながら、避難先での町民の方のコミュニティの再構築支援を行っていました。
佐藤さんは、「復興支援の仕事は自分を形成するきっかけで、人格が変わりました。町民の方に毎日毎日会い、話を聞いているうちに自分も再構築されたような気持ちにさせてもらった仕事です」と活動を振り返ります。
大熊町の一部避難指示解除後、2019年4月から夫の実家がある大熊町大川原に住んでいます。
2021年には復興支援員の仕事を卒業し、2022年に「HITOkumalab」という屋号で開業。主な活動は、コミュニティ支援やイベント企画運営、伝統芸能の保存継承、大熊町視察の対応やアレンジ、講演など様々な事業を展開しています。

その中で、現在佐藤さんが力を入れている活動は以下の3つです。

①地域の文化、伝統芸能の保存継承
震災後は無形の文化的活動は優先順位が低く、継承の機会が失われてきました。地域のお祭りやイベントに積極的に関わり、伝統や良い文化を生きた形で若い方にどんどん根付かせていきたいと考えています。
佐藤さんは大熊町熊川の伝統芸能「熊川稚児鹿舞」の一員として笛を演奏したり、若手で盆踊りのお囃子を運営するチームを運営したりするほか、町の先輩たちから歴史や文化を学ぶ「大熊ふるさと塾」に入って日々勉強しています。

②農業
「農業の復活=地域の復興」という思いがすごくあり、農業を大事にしたいと考える佐藤さん。
自身の管理する田んぼでとれた酒米で甘酒を作り販売しています。現在は田んぼ約2つ分を管理していますが、いずれは農業だけで食べていきたいという野望も抱いています。

③ふくしまトレイル
昨年、新地町からいわき市までの200km超を一本につなぎ歩く「ふくしま浜街道トレイル」が開通したことを受け、地元の仲間と一緒にトレイルを盛り上げていこうと準備しています。」浜通りは震災後、立ち入れなかった時間も長く、近づいてはだめだと言われてきました。そんな道をみんなで歩いて地域を知ることには大きな意味があります。死ぬまで関わっていきたいと思う活動の一つです」と佐藤さんは話します。

HITOkumalab
https://akisatookuma.wixsite.com/hitokumalab

(2)座談会
仲間づくりや協力者を得るコツを教えてください

小林:
自分のやりたいことや実現したいことをいろんな人に言うことをとにかく意識しています。そうすることで、勝手に応援してくれたり、繋げてくれたり、情報をくれたりします。
もう一つ、仲間づくりで意識して作ったのが「なみえ会議」です。復興支援で浪江町に入った企業や団体、個人などが多くいたので、支援内容の重複をなくしたり、共同連携を進めてもらえればと、情報交換の場を作りました。最初は企業、子ども支援団体、NPO法人などの地域課題解決や福祉関係で活動していた方々と、区長さんや役場、町に関心のある個人の方にも声をかけました。

スタート当初は「独居高齢者をどう支えていくか」がメインテーマでしたが、回を重ねるごとに企業の参加が増え、現在は浪江町で各企業や団体がどんな取り組みをしているのかを共有し、地域でどのようなことが求められているかの認識を合せる会議に変わってきています。参加者が減って形骸化することもなく、定期的に続いています。

佐藤:
何かを企画する際、役場の人や必要な人に仲間になってもらうため、臆せず突撃していきます。
その反面、関係者への事前連絡は欠かさず、議題の方向性やゴールを突き詰めておいたり、リマインドをしたり、重要人物に意思決定の確認を取っておいたりと、物事が円滑に進むよう、裏でしっかり調整してから会議に臨むことを心がけています。

苦手な人や反対派との付き合い方は?

小林:
浪江町は住民の皆さんも一度浪江町から避難し、自身がよそ者になった経験があるからこそ、よそ者に対してもウェルカムな雰囲気が強いです。私の活動も応援してくださる方が多かったように思います。
苦手な人・反対派の人もいますが、そういう人たちと関わっていくことで自分の知らなかった視点や関係性を知ることができたりもします。もちろん最初はいろいろ言われて落ち込んだりもしましたけどね。

佐藤:
「町の伝統や良いところを残したい」という目的に沿った行動に反対する人とは真っ向から喧嘩しました。この10年で喧嘩して歩み寄ってを繰り返している人とは、今後もずっと仲良くいられると思います。その一方で、喧嘩にもならずに離れていく人、お互いに合わないと感じる人も中にはいます。人口が数百人の狭い町ですが、あまり気にせず適度な距離感をとってやっています。それ以上にかわいがってくれる人の方が多いです。

やりたいことを周りに公言する時は、人を選んで話していますか?

小林:
誰に話す、話さないは意識していませんでした。なみともの仲間や区長さん、活動を応援してくれる方、あとは役場の人や仕事仲間たちには、ただの世間話として普通に話します。特に今まで一緒に活動してきた人たちとは相談も含めて深く話したりもしますね。夫にはあまり言わないです。

佐藤:
私は自分の関心が高いことは、夫を含めてすぐ周りに言います。雑談レベルでも言っておけば、言った先で協力してもらえることもあるので、「できたらいいな」ぐらいのアイデアでもどんどん周りに言ったほうがいいと思います。

地域の人との身近な距離感はどのように築いてきたのですか?

小林:
日頃、地域の方々と関わっている中で、「こんなことやりたい」と言ったときに協力を申し出てくれる方がいるというパターンが多いですね。
竹を切り出して流しそうめんをやった時が良い例です。なみともとは別の団体の地域活動に参加していたなみともメンバーが「地域のみんなで流しそうめんをやりたいんです」と、山に詳しいおじちゃんたちに相談したところ、「竹やぶだったらあそこがいい」と教えてくれて、竹を切る道具を一式携えて、なみともの活動に協力してくれました。

相談できる人との最初のコンタクトはどなたかの紹介ですか?自分から訪ねたのですか?

佐藤:
紹介です。復興支援員という立場だったので、初めは役場の人とか、誰かから紹介してもらってました。

小林:
紹介されて自分から訪ねました。移住当初は知り合いがいなかったので、浪江町役場主催の「町を語るワークショップ」に参加しました。「ずっと一人で家にいるんだよね」と役場の人に話したら、「区長の佐藤さんが話を聞いてくれると思うから行ってみて」と紹介してもらい、一人で訪ねて行って友達になってもらったというのが一番最初の出会いです。

家庭と仕事を両立するために工夫していることは?

小林:
「私は主婦で4歳の娘がいるので、必然的に家庭に割く時間が多くなります」と公言しています。まず第一に家庭があって、空いている時間に仕事や副業に充てる時間を割り振り、事前にクライアントに伝えています。
夫は浪江町役場の職員で忙しい部署にいるので、今月と来月の予定、夜の予定、土日の予定などをお互いすり合わせて、LINEでシフト管理に近いやり取りをしています。

佐藤:
今年はやることを減らそうと意識的に調整しています。20代の時と40代の時の体力は全然違うので、働き方のコントロールは必要ですね。
今まで自分がやってきたことも、町の人口が少ないから役割が回ってきていただけで、別に私じゃなくてもできます。町に女性も増えてきましたし、色んな人に関わってもらいたいですね。

セミナーを振り返って

地域版女性リーダー育成セミナーの様子を2回に渡ってご紹介してきました。
前年度も参加した方や、ご自身の活動に悩みをお持ちの方などから熱心な質問が飛び交い、自身の活動に繋げられるヒントを持ち帰っていたようです。セミナー後は個人的に講師に質問をしたり、講師や参加者同士で連絡先を交換したりと、積極的な様子が見られました。講師4名をお手本に、このセミナーから地域で活躍する女性が増えていくことを期待しています。

ライター:齋藤 幸子

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