キラリと光るキラっ人さん

キラっ人さん紹介

男性の育休取得に必要なのは、 「言い出しやすい職場環境」と「スムーズに復帰できる安心感」

  • 清水 晶紀さん(国立大学法人福島大学)
  • しみずあきのり
  • 福島大学 行政政策学類 准教授

東京都板橋区出身。2008年より現職。専門分野は行政法学、環境法学。主に環境保護のための行政規制について、法政策と法解釈の両側面から研究を行う。2015年2月の第一子誕生に際して5ヵ月間の育児休暇を取得した。

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「週末婚」の妻を支える育休

 2015年11月から翌3月まで育休を取得しました。本学の男性教員では初めてのケースです。妻は山梨県の大学で研究者をしていて、結婚してからずっと「週末婚」を続けてきました。妻の妊娠が判明してすぐ「自分も育休を取ろう」と決めた最大の理由は、「働き続けたい」と願う妻のスムーズな職場復帰を支えたかったからです。そのために子どもが1歳位まで一緒に生活できればいいなと思いました。
 決心はしていても、学類長に申し出る時には、少々の覚悟が必要でした。「どんな反応が返ってくるだろう?」と緊張したのですが、「ぜひ取ってみたら」と快く許可をもらえて、ほっとしました。当時の学類長自身が幼いお子さんを育てていたこともあって、育児と仕事の両立には理解があったのだと思います。

研究者が育児に専念する難しさ

 次に担当の授業とゼミをどうするか決めなくてはいけません。子どもが産まれたのが2月でしたので、新年度は前期にまとめて授業をして、後期から休むことにしました。本学のゼミは3〜4年と持ち上がりなので、3年で担当したゼミ生が4年次に上がる時は、形式的に他のゼミに移ってもらうことになりました。合わせて育休中もメールのやりとりを通して、卒論など学生のフォローは継続していました。
 後期の10月から休むつもりでしたが、11月にずれ込んだのは研究の仕事を受けてしまったからです。育休中は「育児に専念する」ルールがあり、「完全に仕事を中断できない」研究者ならではの難しさがありました。例えば法律の世界では常に新しい判例が出ますし、最新の動向を把握していなければなりません。現実的に「育児に専念できない」事情がある研究者のサポート体制が今後は課題だと思います。

子育てと仕事の大変さは質が違う

 とはいえ、24時間子どもと一緒にいることができた育休期間はとても貴重でした。初めて湯船に一緒に入った時に、子どもがずっと笑っていたのがとてもうれしかったのを覚えています。二人きりでいて子どもが笑顔だったのは多分その時が初めてでした。一人で子どもを見る大変さは、仕事の大変さとは全く質が違います。
 今回は、出産後ずっと育児をしてきた妻の偉大さに感じ入りながら、子どもと向き合っていました。私が育休に入ってから、妻は職場である大学に時々顔を出して復帰に向けた準備をすることができましたし、妻が一人で実家に帰ってリフレッシュしてきてもらうこともできました。この期間がなければ、私は「今週は仕事が忙しいから山梨には行けない」と簡単に言ってしまうような夫になっていたかもしれません。妻の大変さと、家族の大切さをしっかり感じ取ることができました。
 今回の経験を踏まえて、男性の育休取得は「言いだしやすい環境」と「スムーズに復帰できる安心感」があれば増えるのではないかと思いました。実際、私の職場復帰後に同じ学類の2人の男性教員が育休を取りましたし、4月からもう一人が取得予定です。私が取らなくても、3人の方は育休を取得していたのかも知れませんが、最初のケースとしてきっかけや参考になったのであれば、うれしく思います。(2017年2月取材)

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