キラリと光るキラっ人さん

キラっ人さん紹介

頼まれごとは試されごと。社会の中で「自分の役割」を見つけ、それを活かすことができれば、どんどん「仕事」は面白くなる。

  • 横田 純子さん(特定非営利活動法人 素材広場)
  • よこたじゅんこ
  • 特定非営利活動法人 素材広場 理事長

福島県内の魅力的な食の情報を収集し、観光旅館などに届ける特定非営利活動法人「素材広場」の理事長。観光企画プロデューサーとしてコンサルティングも行う「つむぎ企画」の代表としても活躍中。

旅行サイトの仕事から起業へ

 この春、大学生と高校生になる二人の息子がいます。長男を産んだ時は、出産する日も仕事をしていました。当時、リクルート社の「じゃらん」という旅行サイトの仕事をしていて、訪問先で「ここで産まれちゃったらどうするの!」と心配されたものです。私の担当エリアは喜多方と裏磐梯で、営業だけではなく、お宿さんと一緒に集客できるプランを考えて原稿も書きました。全部一人で抱えていたので出産後はすぐに保育園に預けて仕事に復帰、同じように3年後もう一人産みました。
 10年続けたその仕事を辞めることになったのは、会社の体制が変わったからです。次の仕事のあてはなくて、お付き合いのあったお宿さんに辞めたご挨拶にうかがったりしていたところ、「ウチでこんなことやりたいんだけど、どうすればいい?」と相談されるようになり、それをきっかけにコンサルタント業を立ち上げることにしました。

先に行くために、ずっと前を向いて

 私にとって「頼まれごとは試されごと」です。責任をもって必ず応える。それが「仕事」だと思ってやってきました。2009年には、地元の魅力的な食材の情報を収集し、お宿さんの料理長などに情報発信・受発注を行う特定非営利法人「素材広場」を設立。順調に扱い件数を伸ばして、現在4人のスタッフで運営しています。
 宿のプランは、他と同じでもダメだし、どこにも真似をされないような内容をやっても万人受けしません。「あの宿のプランを真似してやろう」と思われることを先にやらなくちゃいけないのです。でも追い越されるわけにはいきませんので、少しずつ先を歩いていくしかない。そのために、お宿さんの「課題を解決」しながら、ずっと前進していかなければならないので、歩みを止めるわけにはいかないのです。こうしたやり方でいくと、どうしても仕事優先の生活になってしまいます。私の「ワーク・ライフ・バランス」は、あまり他の人にとって参考にならないものです。

お母さんが働くことが大前提の家族だから

 リクルート社の時も、コンサルを始めてからも自宅で仕事をしているので、食事の準備や洗濯、掃除の合間にも仕事ができます。切り替えが難しいのでは?と聞かれますが、このスタイルが私にはとてもラクです。仕事が立て込んだり、ストレスがたまった時ほど、手の込んだ料理をしたり、家中のワックスがけをすると心が落ち着きます。最近、あまりに忙しすぎて家事に手がまわらなくなったときに、二男が不満をぶつけてきました。我が家は一人親なので、私が働くことが大前提です。そこで私は、「いっそ、お母さんではなくお父さんと思ってくれ」と言いました。「お父さんなら仕事をした上に家事までやったら、みんなに褒められる。もうお父さんと呼んでもいいよ」と言ったのですが、もちろん納得はしていませんでした(笑)。
 男の人と女の人で、平等にこだわりすぎると見失うこともあります。男女の役割ではなく「これが自分の役割」と感じられるものがあり、それを活かすことができれば、人は社会の中で活躍できるのだと私は思っています。

PTAは忙しいからこそ引き受ける

 我が家にとって子育ては、「自分で生きる力」をつけさせることです。高校から寮生活をしていた長男は、自分で洗濯して、ご飯も炊きます。魚釣りを始めた二男には、魚のおろし方を教えました。最近はチャーハンなど、自分で食べるものは自分で作るようになりました。一人の人間がどんな風に成長し、何を考えるのかを身近でみられるのはとても面白いことです。息子たちは、二人とも自分が感じたことを話してきますし、思いもよらないこともします。「次は何をやらかしてくれるのか」と毎日退屈しません。 
 とは言え、親としての責任もあります。誰かに迷惑をかけないようにしなければならないので、学校の参観日にも行きますし、忙しいからこそ、あえてPTA役員を自ら引き受けたりもしています。先生から学校での様子が詳しく聞けたり、他の保護者の方たちの正直な意見が聞けるなど、とても参考になります。みなさんの話を聞きながら、母親の発言が子どもには大きく影響することを実感しているところです。

次世代が育つチャンスにしたい「福島への旅」

 親であることの視点は、仕事にも活かすことができます。原発事故に見舞われた「福島」では、地産地消を基軸にしながら、どうやってプライドを失わずに誘客できるかが大きな課題になっているところです。旅と食は決して切り離すことができません。全国のお母さんが福島の現状に心を寄せて、安全な食を届けるために農家さんをはじめ関係者がどれほど努力をしているかを知ってもらうことが大切なのかなと思います。その上で、「見て学んできなさい」と子どもたちを福島に送りだして考える機会を与えてくれれば、次の世代の成長のチャンスにもなるはずです。
 また、福島県内には、「大内宿」が時代を経て価値のある観光資源になったように、20年30年後に価値が高まるような町並みのエリアが他にもあるかもしれません。ずっと先を見越して、それらを残せるような取り組みが必要です。これからも「福島」を旅先として選んでもらえるように、魅力を発掘していきたいと思います。(2016年2月取材)

>> 一覧に戻る

キラっ人さんを応援している企業のご紹介
キラっ人さんがいる企業とは
どんな企業なのか、気になります。
福島で頑張る
キラっ人さん紹介
どうしてキラっ人さんがキラキラしているのか分かるかもしれません。

pagetop